星空観察会での天体望遠鏡操作体験について考える
まもなく、各地で星空観察会が盛んに行われる本格的な夏を迎えますね。
星空観察初心者にとって初めて望遠鏡で見る月のクレーターや土星の輪は忘れられない思い出になるでしょう。でも、星空ガイドの操作する望遠鏡を覗くだけではなく、実際に望遠鏡を操作する喜びが加われば、感動はさらに大きいものになっていくはずです。そこで、星空観察会での天体望遠鏡操作体験の導入について考えてみました。(2024.6.5)
星空観察初心者を対象に、天体望遠鏡を無理なく操作してもらうための必須条件としては、
・小学生でも操作できる小型望遠鏡
・失敗のない低倍率、広視野アイピース
・粗動、微動可能な経緯台
・電気配線なし、全て手動
・使いやすいスマホアプリ
等が挙げられると思います。これらをもとに今回考えた機材構成は以下のとおりです。スマホは、iPhone 15 Proです。
アプリ ドリームズ・カム・トゥルー 88星座図鑑
FS-60CBを搭載したSJ-M経緯台 88星座図鑑でアークトゥルスに照準中 |
サイトロンのSJ-M経緯台は、小型軽量ながら搭載可能重量が7kgもあり、小型望遠鏡や対空双眼鏡を余裕で搭載できます。なおかつフリーストップ機構の粗動と微動ツマミによる微動が可能な使い勝手の良い経緯台です。
眼視に特化しているので、望遠鏡はコンパクトなタカハシFS-60CB(エクステンダーを外したFS-60Q)。そして望遠鏡の光軸と平行に、市販のホルダーを介してスマホを取り付けます(写真には、電子観望用につけっ放しのCMOSカメラが写っていますが、使いません)。
使用するアプリは、有限会社ドリームズ・カム・トゥルーの〝88星座図鑑〟です(android用もあります)。スマホに正対して星空を観察するアプリはほかにも多数ありますが、このアプリの素晴らしい点は、望遠鏡の向く方向と平行にスマホを配置し、光学ファインダーのように使えることです。登録天体数は、恒星11・星雲2・星団4・銀河1と少ないものの、肉眼で見えないものを導入してもあまり意味がないので、初心者向けには必要十分です。アプリ自体は無料でダウンロードできますが、天体を導入する星空レーダー機能を使うために100円課金されます。広告が表示されないようにしたい場合はさらに100円課金されますが、安いものです。
88星座図鑑を起動し、星空マメ知識→探してみよう!星空リスト→恒星→アークトゥルスと進む(①〜④) 恒星はこれだけ、ちょっと少ないかな?(④) |
右下の〝星空レーダー〟をタップ、続いて〝iPhoneの上を星座に向ける〟をタップし、 ポインターが中央にくるように望遠鏡を水平・垂直に粗動・微動(⑤〜⑦) 星団は4つ(⑧)、星雲はM8とM42、銀河はM31しかないが、必要十分! |
望遠鏡を操作しながら、星空レーダーのポインターを中央に寄せ、続いて望遠鏡の接眼レンズを覗き最終調整します。〝88星座図鑑〟に限らず、天体の導入精度はスマホの取り付け精度と電子コンパスの精度に依存します。電子コンパスの調子が思わしくない時は、スマホを手に持って体の前で大きく8の字を描くように何度か回すとある程度改善します。磁気を発生せる機器の近くで使用するとよくありません。
他の1等星や代表的な二重星、星雲・星団などより多くの天体を導入したいときや、自分自身のチョイ観目的の際は、〝88星座図鑑〟に代えて〝Polar Scope Aline Pro〟を使えば、かなり多くの天体を導入できるようになります。このアプリ、極軸望遠鏡としても使えます(むしろ、それが主目的)。ただし、英語表記で使い方もやや複雑でハードルは低くないです。(月草亭)
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