非冷却カメラをスマホクーラーで冷やすⅠ

                                  投稿者:ASHI58

 ZWO社のASI715MCは、センサーのピクセルサイズが1.45μm×1.45μmと小さく、1/2.8 インチセンサーと 846 メガピクセルの解像度があります。そのため、惑星や小さな星雲を大きく拡大するのに有利なカメラとして販売されましたが、残念ながら冷却モデルがありません。

 ここでは夏場でも使えるかどうか、BergamotJellyBeansさんの松江星の会への投稿を参考に、BLACK SHARK フローズンスマホクーラーPROでテストしてみました。

 私はASI715MCは、明るいRASA8と組み合わせて、合成焦点距離が2,800mm程度の機器として使っていますが、夏に向かい熱によるノイズが増えてきました。そこで、文末の参考文献をまねて、27Wのスマホクーラーで実用に耐えるか実験を始めました。まだ、本番の撮影には至っていませんが、冷却効果やLEDの消灯、結露対策等を記述しました。

 クーラーはカメラより3割ほど大きいため、RASA8では天体からの光量が少し減りますが、気になるほどではないと思います。また、ファンの回転は最速モードで行っていますが、振動は気にならないと思います。


 このスマホクーラーにはアプリがbluetooth経由で使え、風速やLEDの制御が可能です。また、ク-ラー本体の温度も表示されます。初期設定では盛大にLEDが点灯するので、これを消さないといけません。

 クーラーとカメラの熱の移動を効率よく行うため、シリコン熱伝導シートを丸く切ってカメラに貼り、クーラーに密着させます。このクーラーは元々スマホを挟み込んでバネで押さえて固定するタイプです。
 
 カメラが冷えると結露がケース外壁に生じるため、結露対策として、植毛紙を貼ります。RASA8はカメラを望遠鏡の前に取り付けるため、結露による水滴が補正レンズに落下するのを防ぐ必要があります。望遠鏡後部にカメラを設置する屈折式やシュミカセ式だと、外壁の結露は気にしなくても良いと思います。
 また、センサーの窓ガラスが元々の金属押さえだと結露が激しいので、4本のネジをはずしてPLAで作ったもの(BergamotJellyBeansさん設計のSTLファイルを使用)と交換します。





 まずクーラー無しのセンサー温度の上昇を調べました。GAIN35でLiveStackを行い、ASIairでモニターしながら1分ごとに記録しています。1時間ほどで約10℃上昇します。ちなみに私の撮影時間は1時間から1時間半が多いです。

 では、クーラーの電源を入れて冷やしてみます。



 外気温は25℃でほぼ一定です。クーラー温度が下がるのに追従して、カメラのセンサー温度も下がり、室温より約10℃下がります。クーラーを使わないと室温よりセンサー温度は10℃高くなるため、その差は20℃にもなります。
 冬場の5℃の外気温での撮影では、それに10℃プラスして非冷却カメラのセンサーが作動しているとすると、このスマホクーラーで夏場の外気温25℃での撮影でも、冬場の非冷却カメラ並みの測定ができるのではと思います。

 まだ、軽い結露がセンサー窓に生じているように思います。この周囲に乾燥材を入れることを考えています。実際に気温の高い日に撮影するのが楽しみです。



参考:松江星の会 

 

                                    Posted by BergamotJellyBeans

コメント

このブログの人気の投稿

M42の白飛び調整法

鳥取天文協会オリジナルカレンダー2024ができました