Vixen StarBook TEN の子午線超え

よく知られているように、Vixen製赤道儀のコントローラーStarBook TENには、鏡筒反転のタイミングを設定する機能があります。メインメニューから「架台の設定」→「子午線超え」→「強制追尾停止(もしくは、自動導入)」と進むことで設定できます。初期設定は、いずれも〝Over 0°〟ですが(写真1)、私の場合、「強制追尾停止を〝Over 30°〟、「自動導入」を〝East 30°〟に設定しています(写真2)。

「強制追尾停止〝Over 30°〟」とは、子午線の東側で導入した天体を、子午線通過後も2時間(West 30°まで)は鏡筒反転せずに、子午線の東側天体と同く鏡筒が西・バランスウェイトが東のポジションで追尾し続けるというもの。「自動導入〝East 30°〟」とは、子午線の東側にある天体でも、子午線通過2時間前以降であれば、子午線の西側天体と同く鏡筒が東・バランスウェイトが西のポジションで天体導入し、子午線通過後も鏡筒反転せずに追尾し続けるというものです。

ここで疑問が生じました。「East 30°より東の天体を導入したとき、East 30°経過時に鏡筒反転のタイミングがやってくるのではないか」ということです。取扱説明書に「鏡筒反転の位置を子午線より東に設定」とあるからです(写真3)。そこで検証を思い立ち、本日実行しました。

(写真1)子午線超えの初期設定 (写真2)設定の実際 (写真3)自動導入(東側)の説明

SkySafariの天体情報とStarBook TENをにらめっこながら、East 30°より東にある天体「さそり座θ星サルガス」(写真4)を導入、鏡筒が西側(バランスウェイトが東側)にあります(写真5)。East30°通過の10:43を過ぎても鏡筒反転はなく追尾を継続しています(写真6)。

(写真4)さそり座θ星の基本情報 (写真5)天体導入時 (写真6)East 30°通過後

子午線を通過し(写真7)、鏡筒反転のないまま、バランスウェイトを持ち上げながら追尾を継続(写真8)、鏡筒反転メッセージに続いてOver 30°の14:43強制追尾停止(写真9)と相成りました。結局、いずれのポジションで天体導入しても最低でも4時間は鏡筒反転させずに観測や撮影が担保されることが分かりました(そんなに長時間、赤道儀を稼働させたのは、今日が初めてですが…!)。SkySafari Tenはよくできています。杞憂でした。

(写真7)子午線通過 (写真8)鏡筒反転せずに追尾継続 (写真9)Over 30°で強制追尾停止

余談ですが、私はSX2赤道儀を普段、鏡筒を取り外しピラー脚(Kenko製)に載せたまま屋上バルコニーに置きっ放しです。雨露や雪を防ぐために、ポリバケツを被せ、さらに大きめのタイヤカバーで覆っています。これまでに2回、台風級の風が吹いてフェンスにもたれかかるように倒れたことがあったので、3.7kgのバランスウェイトは取り付けたままにしておくとともに、ピラー脚の3本の支脚のそれぞれに水を満たしたウォータータンク(容量各2.5kg)を取り付けています。そして、風をはらまないようにタイヤカバーの裾をしっかり紐で縛ります。ただし、雨がたくさん降った後は湿気が入るので、時々天気の良い日に覆いを外し、赤道儀とピラー脚についた水滴や汚れを拭き取ってやる必要があります。(月草亭)

(左)稼働中のSX2赤道儀  (右)保管時の架台




 

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