リゲルと魔女の横顔星雲とその周辺


 オリオン座のリゲル、エリダヌス座の魔女の横顔星雲IC2118周辺部をf237mm APS-Cで撮影しました。星雲やガスの他に、銀河もたくさんあって大変賑やかな領域です。

青く明るく輝くのはリゲル。魔女の横顔星雲は、このリゲルによって照らし出されています。

この写真は口径わずか55mmの屈折望遠鏡で4時間40分かけて撮影しました。


■撮影データ

 撮影日:2023.11.20 23:21~
 撮影地:大山町総合文化スポーツセンター駐車場
 赤道儀:ZWO AM5
 鏡筒:
Vixen FL55SS + REDUCER HD 55 + FLATTENAR HD F4.3 f237mm
 カメラ:ZWO ASI2600MC Pro -10℃冷却
 フィルタ:UV/IR Cut
 露出:280分(300秒 × 56枚)
 オートガイド:ZWO ASI120MM mini f130mm
 撮影機材:ASIAIR Plus
 画像処理:PixInsight, LuminarNEO, PhotoshopCC

PixInsightの画像処理の流れ

WBPP(Weighted Batch PreProcessing)でライトフレーム56枚と、インテグレート済みのダークフレーム1枚をまとめて処理しました。Vixen FL55SSは周辺減光極めて少なくAPS-Cでの撮影ならフラットフレームは撮りません。
撮影途中で子午線を越えたため鏡筒反転しています。PixInsightはインテグレート(コンポジットのこと)するときにプレートソルビングまでやるので写野が回転していても問題ありません。
子午線越えの鏡筒反転もasiairのmeridian flipで、すべて自動でやってくれます。
ダーク補正、プレートソルビングによる56枚のインテグレート、Drizzle、オートクロップが全部終わるまでに44分33秒掛かりました。(Mac Studio M1 Maxにて)

次にABE(AutomaticBackgroundExtractor)背景ムラを除去します。
他の鏡筒(Vixen FL55SS以外)では、フラットフレームで補正かけますが、この場合ABEでは背景が綺麗になりません。その場合はDBE(DynamicBackgroundExtractor)を使っています。
背景のサンプル点を自分で打ち込みます。
この鏡筒はフラット補正しなくてもABEで背景を綺麗にできるのでお気に入りです。



次は色合わせです。PixInsightは仮想的にホワイトリファレンスを作って正しい星の色の補正する機能があります。



最近手に入れたBXT(BlurXTerminator)を使ってみます。
大気の影響や、光学的歪みで劣化した画像を、本来の恒星や星雲の姿に復元します。
Deconvolution(デコンボリューション:逆畳み込み)で正しい画像から劣化した画像に変化する要因を関数化(点像分布関数:PSF)して、逆変換することで元画像に近づけています。(受け売りです(^_^;))
BXT処理後は恒星が小さくなっています。シンチレーションなど大気の影響を除去したことが効いています。
元画像


BXT処理画像


ヒストグラムのストレッチをして画像の明るさやコントラストを調整します。

更に強調処理をするためにSTX(StarXTerminator)恒星と背景を分離します。
背景(恒星を消した画像)

恒星のみの画像

この後は、使い慣れた画像処理アプリに引き継ぐため背景と恒星のファイルを、それぞれTIFFで保存します。
その後、分離した背景と恒星だけの画像を再合成しPixInsightに戻ります。

背景にノイズが目立ちますがNXT(NoiseXTerminator)でノイズを除去します。

北を上にして仕上げです。

さらっとPixInsightの処理を流しました。
それぞれの画像処理の詳細な機能については説明していません。
先人たちがネットで情報を公開してくれているので探してください。

Posted by BergamotJellyBeans


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