RC Astro の Photoshop プラグイン・フィルターによる画像処理(アンドロメダ銀河)

「天文ガイド」10月号で紹介されている、RC ASTROブランドの画像処理ツールを使って画像処理をしてみました。

使ったのは、傾斜カブリの修正に使用するGradient X Terminator(以下GXTと略記)、恒星像だけを小さくシャープにするStar Shrink(以下Ssと略記)、天体画像から恒星像だけを除外するStar X Terminator(以下SXTと略記)、ノイズ低減処理を行うNoise X Terminator(以下NXTと略記)の4種類です。いずれも、Photoshopのプラグイン・フィルターとして使えますので、Photoshopユーザーにとっては使い勝手のいいツールです。

1.Gradient X Terminatorで傾斜カブリを修正する

処理に用いた画像は、8月22日のポニー牧場夏キャンプ天体観察会の際、電子観望と並行して行ったM31のライブスタック画像(PNGフォーマット)です。元画像(図2)は、北東から昇って間もないM31をライブスタックしたもの(ASI 294MC pro・250 mmF4.9・ZWO AM5・オートガイドあり、-10℃冷却・Bin1・Gain390・30s・総露出時間10m、Dark・Flat・Bias補正あり)で、完成画像(図1)と比較して見るとよくわかりますが、左下に傾斜カブリが見られます。そこでまず、元画像を複製したレイヤーに対してGXTを弱めに施します(図3)。

(図1)画像処理後の画像

(図2)ASIairのLiveStackで保存された元画像

(図3)Gradient X Terminatorで傾斜カブリを処理

2.Star Shrinkで恒星像を小さくシャープにする

以下、SsとSXTを順に施していきますが、元画像ではなく、GXTを施したレイヤーの複製に対して行います。複製は3つ(Ss用に1つ、SXT用に2つ)作っておきます。複製したレイヤーの名前はわかりやすいものに変更しておくと、あとの処理が楽です。

Ssはデフォルト設定のまま施しています(図4)。

(図4)Star Shrinkで恒星像をシャープに

3.Star X Terminatorで天体画像から恒星像を除外する

SXTには、Large Tile Overlapというオプション(on・offで選択)がありますが、オフだと渦の淡い部分が消え、オンだと小さなM32が消えてしまいます。試行錯誤の結果、両方行って比較(明)でブレンドした2つのレイヤーを合成するのがいいみたいです。処理に要する時間は4つのツールの中で最も長く、Large Tile Overlapオフで1分程度、オンで2分程度ですが、ファイルの大きさやPCのスペックによります(図5〜7)。

(図5)Star X Terminatorで恒星像を除外(Large Tile Overlap・オフ)

(図6)Star X Terminatorで恒星像を除外(Large Tile Overlap・オン)

(図7)2つのレイヤーを比較明合成

4.星雲の強調処理をする

恒星像を除外した画像をそのまま強調処理すると星雲以外の部分にも色が乗ってしまいます(図8)。

(図8)そのまま強調処理すると…

そこで、レイヤーマスクを使用します。レイヤーマスクを作成する際には、ALTキー(Macの場合はoptionキー)を押しながらマスクボタンをクリックし、次いで画像(レイヤー本体)をコピー、さらにALTキー(Macの場合はoptionキー)を押しながらレイヤーマスクをクリックしてペーストするのがポイントです(図9)。そして強調処理をより効果的に行うために、できあがったレイヤーマスクの星雲部分が明るく、バックグラウンドが暗くなるようにレベル調整していきます(図10〜11)。

(図9)レイヤーマスクを作成

(図10)レイヤーマスクの暗い部分をさらに暗く

(図11)レイヤーマスクの星雲部分を明るく

その後、画像(レイヤー本体)の明るさ・コントラスト・彩度を調整します(図12〜13)。

(図12)明るさとコントラストを調整

(図13)彩度を調整

5.Noise X Terminatorでノイズ低減処理を行う

最後に、SXTを施したレイヤーとSsを施したレイヤーのブレンドモードを比較(明)にした後画像を統合し、NXTを施します。処理に少し時間がかかりますが、SXTほどではありません(図14)。デフォルト設定のままで非常に滑らかで好感の持てるノイズ低減処理が行われます(図15)。

(図15)ノイズ低減の効果(処理前・処理後)

これらの画像処理ツールは、RC ASTROよりダウンロードでき、1つのライセンスでPC3台までインストールできます(各$39.95〜$49.95)。RC ASTROの画像処理ツールについては、天文ガイドで集中連載されるようなので、今後が楽しみです。

今回は電子観望と並行してライブスタックしたPNG画像からの画像処理でしたが、気合いを入れて撮る天体写真でもやってみたいです。(月草亭)


(9月27日追記)
星雲レイヤーと恒星レイヤーのブレンドモードを、「比較 (明)」から「スクリーン」と「覆い焼き (リニア) - 加算」に変更して画像処理してみました。好みの分かれるところですが、「スクリーン」と「覆い焼き (リニア) - 加算」は、どちらも使いやすくて、星雲レイヤーと恒星レーヤーの合成処理でよく用いられているようです。(月草亭)

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