カメラのピクセルサイズやシーイングの影響について

 カメラのピクセルサイズやシーイングの影響についてXのGrokで聞いてみたら色々分かりましたので紹介させていただきます。


「鳥取県全般の年間を通じたシーイングレベル」

良好な条件  1.0~2.0秒角   早朝や天気予報の風速が1m以下の風の弱い日で惑星が良く見える時

平均的な条件 2.0~3.0秒角 天気予報の風速が1~2m位の普通の条件の日

悪い条件   3.0~5.0秒角 冬場のシーイングが悪い時など風速が3~4m以上の日

岡山県の瀬戸内などシーイングの良い場所は鳥取県より平均して0.5秒角位良いようです。


「望遠鏡の焦点距離とカメラのピクセルサイズから1ピクセルあたりの秒角(ピクセルスケール)を計算」

ピクセルスケール=ピクセルサイズ(μm)X206.265 ÷ 望遠鏡の焦点距離(mm)

40cm 2310mmの場合

ASI2600MCPro 3.76μmX206.265 ÷ 2310 = 0.34秒角/pixel

Sony α7Ⅲ   6.0μmX206.265 ÷ 2310 = 0.54秒角/pixel  

シャープな星像を得るには計算したピクセルスケールの2~3倍までのシーイングレベルが必要ですのでASI2600の場合は0.68~1.02秒角、Sonyα7Ⅲの場合で1.08~1.62秒角の極めて良好なシーイングが必要になり、撮影条件は極めて厳しいです。2~3秒角の平均的なシーイングでは当然星像はボテボテに甘くなります。

25cm 1200mmの場合 (山崎さんDOB GOTO10)

ASI2600MCPro 3.76μmX206.265 ÷ 1200 = 0.65秒角/pixel

Sony α7Ⅲ   6.0μmX206.265 ÷ 1200 = 1.03秒角/pixel

Canon EOS-R    5.36μmX206.265 ÷ 1200 = 0.92秒角/pixel

ピクセルスケールの2~3倍で、ASI2600 1.3~1.95秒角、α7Ⅲ2.06~3.09秒角、EOS-R 1.84~2.76秒角となり平均的なシーイングではASI2600の場合は星像が甘くなりますが、デジカメの2機種ではシーイングにマッチしたピクセルスケールになります。

800mmの場合

ASI2600MCPro 3.76μmX206.265 ÷ 800 = 0.97秒角/pixel

Sony α7Ⅲ   6.0μmX206.265 ÷ 800 = 1.55秒角/pixel

ピクセルスケールの2~3倍で、ASI2600 1.94~2.91秒角、α7Ⅲ

3.1~4.65秒角となり、800mmまで焦点距離を下げるとASI2600でも平均的なシーイングで充分な星像が得られるようになります。

注意点としてこのシーイングレベルは天頂付近の数値で、天体の高度が低くなるとシーイングも1.5倍から2倍以上悪化してゆきますので、低空の天体を撮影する場合は条件が厳しくなります。さて最近大人気のSeestarについても見てゆきましょう。

S50の場合

2.9μmX206.265 ÷ 250 = 2.39秒角/pixel

S30の場合

2.9μmX206.265 ÷ 150 = 3.99秒角/pixel

どちらの機種でも上記の望遠鏡で撮影する場合と比べて大変ゆとりがあるのが分かります。以上がシーイングと望遠鏡の焦点距離とカメラのピクセルサイズに関する情報でした。最後に望遠鏡の光学系収差がシャープさに大きく影響するという話を紹介します。


「冷却CMOSカメラを生かすにはシャープな光学系が必要」

ASI2600の3.76μmチップを使い始めてから光学系のシャープさの違いが顕著に分かるようになりました。その例として同じ望遠鏡でもレデューサーにより像が甘くなったケースを紹介します。

こちらはSkyWatcher15cmEDにビクセンSDレデューサーと純正フラットナーを使ってシーイングの良い日にM3を撮り比べた画像の比較です。ビクセンレデューサーで撮影した画像は純正フラットナーで撮影した画像や純正レデューサーで撮影した画像よりも大分甘い画像になりました。



ビクセンレデューサーはピントを合わす段階から像が甘く、ピントの山が掴みにくかったですが、ビクセンが公開している以下のスポットダイヤグラムを見て納得できました。



高性能なビクセンAX103Sの内臓フラットナーの極めてシャープな中心スポット像に対して、SD103SにSDフラットナーを使用した中心像は大分甘く、ひと目盛り20μmの1.5倍の30μmクラスになっています。これでは3.76μmチップのカメラでは大きな差になってしまいます。少なくとも20μmクラスの星像が必要だと思います。反射望遠鏡系や屈折でもフラットナー光学系の中心像は問題ないと思いますが、屈折のレデューサー系補正レンズで甘くなる機種があるので注意して機材選びをされたら良いと思います。

レデューサー使用時に40μmになる機種もありますし、ビクセンのハイエンド機にレデューサーを使用した場合でも新旧のモデルで以下のように大分シャープさに違いがあるようです。

私が使うキヤノンのF2.8望遠系レンズも濃い光害カットフィルターを使う場合は収差が軽減するので絞り開放でも使いますが、HEUIBⅡなどの透明系フィルターの場合は適度に絞って使うようにしています。

以上冷却CMOSカメラに適合した光学系の話を紹介させていただきました。何らかの参考になれば幸いです。(松本)

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