オリオン座中央部

(2月6日追記)
天文ガイド2月号の連載「T.G.FACTORY CLASSC」(p.56〜p.61)で、RS-AstroのPhotoshopプラグイン・フィルターStar X Terminator(SXT)を使って星雲レイヤーと恒星レイヤーに分離する方法が紹介されています。私はこれまで、SXTで得られた星雲レイヤーと元画像からブレンドモード「差の絶対値」を使って恒星レイヤーを作っていましたが、ここでは「階調の反転」と「除算」のあわせ技が紹介されていました。また、一般的に広く紹介されている「減算」による方法にも触れられていましたので、試みにそれらを比較してみました。


(左)元画像(GXT・Ss適用済レイヤー)(右)星雲レイヤー

恒星レイヤー(左から「差の絶対値」「減算」「階調の反転 + 除算」)

「差の絶対値」と「減算」の違いは、前者はレイヤーの上下による違いがないこと、後者は星雲レイヤーを上にしないと真っ黒になってしまうことです。上下を間違えなければ前者と同じ結果が得られます。それに対し「階調の反転 + 除算」では恒星が明るく表現されるようです。うまく使い分けると表現の幅が広がりそうです。(月草亭)


1月30日の月が昇ってくる前、よく晴れたので、オリオン座中央部を135ミリレンズで撮影しました。水蒸気が多かったせいか、全体的にかすんだ印象になりました。M42中央部と周辺部の輝度差を解消するため 、Stella Imageでコンポジットした画像を3通りにレベル補正し、ハイライト、中間調、シャドウのTIFF画像を作り、それらをPhotoshopで開きレイヤー化、レイヤーマスクを使いながらレイヤーの不透明度を調整してHDR画像を作りました。そこから先は、RC-Astroのプラグイン・フィルター(GXT、Ss、SXT、NXT)とPhotoshopの機能で調整していきました。M42中心部は飽和してしまっていたため救いきれず、かなり露出を切り詰めて別途撮影したほうがよかったと思います。(月草亭)

(データ)
撮影日時 2024.1.30 19:51〜20:51
撮影地 自宅(八頭町郡家)
赤道儀 ZWO AM5
鏡筒 Carl Zeiss Apo-Sonnar 135mm F2(f2.8)
カメラ ZWO ASI 294MC pro(IDAS NGS1フィルター使用)
ZWO ASIAIRで撮影(MGEN-3によるオートガイド)、総露出時間60分(180秒×20枚)
Stella Image 9(ダーク・フラット補正、コンポジット)、Photoshop 2024(RC Astro プラグイン・フィルター使用)で画像処理

完成画像

3つのTIFF画像をPhotoshopで開き、レイヤー化
上からハイライト、中間調、シャドウの順に重ねる

上に重ねたレイヤーに、ALT(option)キーを押しながらレイヤーマスクを作る
マスクの効果で、一番下のレイヤーが見えている

いちばん下の画像をコピーし、ALT(option)キーを押しながら
真ん中のレイヤーマスクをクリックしペーストする

中央の画像をコピーし、ALT(option)キーを押しながら
いちばん上のレイヤーマスクをクリックしペーストする

上2つのレイヤーの不透明度を調整してレイヤー結合
(ここでは、上25%、中央50%)

GXT で傾斜カブリを補正し Ss で恒星を小さく

SXTで恒星を除去(星雲レイヤー)

上記2レイヤーを差の絶対値でブレンドし恒星レイヤーを作成

星雲レイヤーを強調処理

恒星レイヤーと強調処理した星雲レイヤーを覆い焼き(リニア) + 加算でブレンド 

NXTでノイズ除去して完成

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